Christmas decorations - Charlie Brown and Sally read the Sunday comics / kevin dooley


【パリ共同】フランスの連続テロ事件で銃撃された風刺週刊紙シャルリエブドの最新号が14日、発売日を迎えた。1面は「私はシャルリ」のメッセージを手にするイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画。この風刺画を描いたリュズ氏は「みんながこれを読んでくれれば、われわれは(テロに)勝てる」と話した。
 事件で風刺画家や記者ら8人を失ったが国内外のメディアなどからの支援で発行。1面の風刺画がイスラム過激派を刺激するのは必至だが、フランス国内のイスラム教団体は信者に「冷静な対応」を呼び掛けた。
 同紙の発行部数は通常5万部前後だが、今号は国内外からの注文が相次ぎ300万部。

共同通信配信 http://www.47news.jp/CN/201501/CN2015011401000927.html


銃撃された週刊誌「シャルリエブド」。その最新号が発売されました。
日本の新聞でも各社が取り上げたわ。
が、肝心の「風刺画」そのものを掲載している全国紙は日経新聞のみだったの。

普段はあまり読まない日経新聞。
朝日、毎日、読売、産経がどこも風刺画は載せていなかったのでふと日経新聞もたまには読んでみたら載ってたわ。
ということでいわゆる、「全国紙」の中で風刺画を転載したのは日経だけ

さてこの判断の違いどこから出てきたのでしょうか。きょうの紙面にでてきた世界のメディアなどのお考えをまとめてみます。いずれも1月14日朝刊

【朝日新聞】

米ニューヨークタイムズは、事件発生を伝えた8日付の紙面でイスラム教関連の風刺画は載せず、代わりにオランド仏大統領らを描いた表紙を掲載した。・・・ディーン・バケー編集主幹は読者代表を務めるパブリックエディターに対し、多くの記者や編集者の意見を聞いたうえで、自分で判断したと説明。「読者、特にイスラム教徒の読者の受け取り方を考えて決めた。侮辱と風刺の間には境界があり、これらの多くは侮辱だ」と語った。

ワシントン・ポストもニュース面では載せていない。マーティー・バロン編集主幹は同紙の記事で「特定宗教の信仰者にとって意図的、あるいは不必要に失礼な内容」の記事や写真はなるべく載せないという方針を説明した。

AP通信も配慮している。事件で殺害されたステファン・シャルボニエ発行人が新聞を手に持っている写真を3年前に撮影しており、今回も配信したが、漫画の部分が見えないよう、トリミングした。

デンマークの保守系ユランズ・ポステンは9日、「シャルリー・エブド」が掲載した預言者の風刺画を転載しないと社説で表明した。

フランスでは、保守系のフィガロを含むほぼすべての主要紙が、発生翌日の8日付の紙面で、イスラム教や預言者ムハンマドの風刺画を転載した

長沢栄治・東大東洋文化研究所教授(中東地域研究)の話 偶像崇拝を禁じるイスラム教では、預言者ムハンマドの姿を描かないこと自体が信仰の表れだ。絵に描くことは一般的イスラム教徒には受け入れ難く、その絵で侮辱するなどというのはあり得ない。・・・自由や平等、人権は普遍的価値として議論するべきだが、異なる価値観や宗教的背景を持つ人間同士がわかり合うためには、普遍的価値が自分の側にあると振りかざすべきではない。・・・

【毎日新聞】

エジプトでイスラム教の解釈を示す政府機関ファトワ(宗教令)庁は13日、「約15億人のイスラム教徒に対する挑発だ」と非難。

【産経新聞】

フランス公共ラジオは、北・西アフリカで活動する国際テロ組織アルカイーダ系の「イスラム・マグレブ諸国のアルカイーダ組織」(AQIM)が12日、ムハンマドの風刺画を「卑劣な攻撃」と表現し、フランスへの新たなテロを警告したと報じた。

さてこうみると、フランスでは各紙が転載していても、世界的にみると転載に否定的なのでしょうか。
こんな中でむしろ日経新聞が掲載した理由は?ちょっと気になるわね

というのもこの風刺画、転載したドイツの大衆紙は放火にあっています。
絵があまりにも侮辱的という意味だけでなく、リスクマネジメント面でも転載しないっていう考えもあるわね

しかし、テロに対しては危機感がない日本。
そしてまだまだ多くの日本人にとってなじみがないイスラム教

紙面を比べてみると日経の記事の扱い自体は他紙と比べて小さいわ。でも絵があるとないとでやっぱり見方は変わる印象。というか「この絵、あなたどう思う?」と訴えかけらる感じね。

一方でこの問題は、欧米人が日本人に対して「クジラを食うのは野蛮だ!」といっているような議論と似ているのかなとも思います。
シャルリなどフランスメディアは一方的に自分の考えを相手に押してけているように思います。なんというか、欧米的考えを。
自分達は牛は食べるけど「韓国人は犬を食べちゃだめだよ」っていうロジック。欧米人には理解できても韓国の人には理解しがたいと思うのよね

まーただ記事として一番読み応えあるのは朝日だったわ。内容も濃くてすごく読んでておもしろかった。
 



↓↓↓↓ここからは追記です。(1月15日更新)↓↓↓↓



1月14日付紙面では日経のみの掲載でしたが、
1月15日付は各社の対応にが少しづつ変化があったわ

まず
読売新聞。以下のコメントを紙面に載せていました。

読売新聞グループ本社広報部の話 「表現の自由は最大限尊重すべきものだと考えている。ただし、今回の風刺画を掲載するかどうかについては、社会通念や状況を考慮しながら判断していく

といままでに転載していない理由を紙面に載せました。内容は形式的なもので「あ、そうですか」という感じね。どうせ載せるならもう少し踏み込んで書いてほしかったわ。 

ただ一方で 読売新聞、毎日新聞朝日新聞
3紙はいずれも人々が最新号を買い求める姿の写真を掲載。
両方の写真には最新号の上部に書かれている「CHARLIE HEBDO」の文字は写真に写っていますが、問題となっている風刺画そのものは写っていません

そして産経新聞
産経はシャルリ編集者が記者会見で、最新号を片手に掲げている写真を掲載
最新号の風刺画は写っています。ただそれだけがメインにポートレートされた写真ではないので、サイズも小さく斜めになっています

と各社が少しづつ対応が変わってきました。
いぜん、「しっかりと」風刺画を転載したのは日経新聞のみです。