Nelson Mandela statue, Washington DC / futureatlas.com


産経新聞に掲載された作家曽野綾子氏のコラム
「外国人と居住区だけは別にした方がいい」という発言にネット上でも「アパルトヘイトだ」と批判されました

そんな中曽野氏は「チャイナ・タウン、リトル・東京」の存在はいいもの、と謎?なコメントを朝日新聞を通してだしました。
一連の流れをまとめます


1.そもそもどんなコラムだったのか
産経新聞に掲載された曽野氏のコラムの要旨は以下

・他民族の心情や文化を理解することは難しい
・しかし日本は労働移民を認めなくてはならない
・でも移民としての法的身分は厳重に守るように制度を作らなくてはならない
・南アフリカの実情を知り、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思った


2.曽野綾子氏とは
朝日新聞によると
1931年生まれ。堕胎を扱った「神の汚れた手」など著書多数。2003年、夫の三浦朱門氏に続き文化功労賞。13年1月に安部政権の教育再生実行会議委員(同年10月辞任)。保守派の論客として知られ、同年8月には週刊誌で「女性は赤ちゃんが生まれたら、いったん退職してもらう」などと発言し、論争になった。エッセー集「人間にとって成熟では何か」は13年のベストセラー。


3.南アフリカ駐日大使が抗議

このコラムに対し、産経新聞宛に抗議文を送りました

ペコ大使は「アパルトヘイト(人種隔離)を許容し、美化した。行き過ぎた、恥ずべき提案」と指摘。アパルトヘイトの歴史をひもとき、「政策は人道に対する犯罪。21世紀において正当化されるべきではなく、世界中のどの国でも、肌の色やほかの分類基準によって他者を差別してはならない」としている。(産経新聞)


4.産経新聞「曽野氏の意見です」

抗議を受けた産経新聞は「曽野氏の意見」だと主張。

小林毅産経新聞執行役員東京編集局長 「当該記事は曽野綾子氏の常設コラムで、曽野氏ご本人の意見として掲載しました。コラムについてさまざまなご意見があるのは当然のことと考えております。産経新聞は、一貫してアパルトヘイトはもとより、人種差別などあらゆる差別は許されるものではないとの考えです」(産経新聞)


5.曽野氏「アパルトヘイト、称揚したことない」
朝日新聞が17日朝刊に曽野氏のコメントを掲載しました

私は、アパルトヘイトを称揚したことなどはありませんが、「チャイナ・タウン」や「リトル・東京」の存在はいいものでしょう。



6.朝日のまとめ記事で識者などのコメント

樋口直人・徳島大准教授(社会学)
「人種隔離を認める内容」
アパルトヘイトは提唱していないと言うが、コラムは人種隔離体制で外国人労働力を受け入れよと言っているに等しい。(朝日新聞)
「国際問題になりかねない」
「人道に対する罪」と確定しているアパルトヘイトを肯定するような内容で、国際問題になりかねない。(朝日新聞)


山田健太・専修大教授(言論法)
「コラムでも人種隔離を肯定する言論を載せるべきではない」

日本では人種差別表現を直接規制する法はなく、人権への配慮は報道機関の倫理であり、編集権を担う者は、記事でも外部筆者のコラムでも、人種隔離を光栄する言論は載せるべきではない(朝日新聞)
「メディア同士で検証を」
部落差別問題と同じで、文脈での内容の批評が必要。批判されているような「アパルトヘイトの美化」なのか、メディア同士で検証、批判し合うべきだ。(朝日新聞)

南山大(名古屋市)などで講師をする南アフリカ出身の歌手プリスカ・モロツィさん
「日本人は他のアジア人より上だと思っているのか」
「どうしてそんなことが言えるのか。アパルトヘイトでたくさんの黒人が死んだのに」「日本人は、ほかのアジア人より上だと思っているの?」

7.そんでね

まとめて思ったのが、徳島大の樋口准教授のコメントが正論すぎるってこと。
曽野氏があとから「そういう意味じゃないのー」と主張するのはいいけど、どう頑張ってもあのコラムはアパルトヘイトを肯定してしまっている
本人がいかに称揚してないと主張しても、述べていることはアパルトヘイトでしかない。

さらにいえば曽野氏のコメントも意味がわからない
「チャイナタウン」「リトル東京」はいいものって。そりゃそう思うけど、リトル東京は海外の政府が強制的に隔離させてできた町ではない。そこに外国人が住んだっていいわけで、比べることじたいそもそもおかいい
比べるなら第二次世界大戦中ユダヤ人が強制的に住まわされた地域である「ゲットー」。
「ゲットー」の存在っていいものでしょうっていわれて賛同できるわけがない