1423802948974


【共同通信】施政方針演説、対テロ責任果たす 首相、改憲へ国民的議論提起

 安倍晋三首相は12日の衆院本会議で施政方針演説を行った。過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件に関し「テロと戦う国際社会において日本としての責任を毅然として果たす」と述べ、テロに屈しない姿勢を強調する。憲法改正に向けた国民的議論の深化を提起。約60年ぶりとなる農協制度の大幅見直しや、自衛隊任務を拡大する安全保障法制の整備などを「戦後以来の大改革」と位置付け、実現への決意を表明する。
 2012年12月の第2次安倍政権発足後、施政方針演説は3度目。第3次政権では初。昨年の衆院選大勝を背景に経済や教育、地方創生など自身が掲げる改革の断行を前面に打ち出す。
http://www.47news.jp/CN/201502/CN2015021201001141.html
安倍首相が施政方針演説を12日に行いました。

それに対する新聞各紙の反応の違いがありました。(産経はやっぱり中韓発言に注目しています)


1.そもそも施政方針演説って?

施政方針演説とは"政府の長が議会でその年一年間の政府の基本方針や政策についての姿勢を示すために行われる演説である"(ウィキペディア)。慣例として国会が開会したときは首相が演説をします

施政方針演説はよく、所信表明演説と混同されますね

施政方針演説とは: 通常国会で1年間の方針を語る演説

所信表明演説とは:解散総選挙後の特別国会、臨時国会、会期中に首相が交代した際に行われる演説


実は安倍総理、今年1月26日の通常国会開会時に所信表明演説をしませんでした。編成が遅れていた予算案を早く成立させたいという政府の意向で、共産党以外からはとくに異論はありませんでした。


  2.演説に対する新聞各紙の視点

見出しでざっくりいうとね

産経新聞 戦後70年「歴史戦」に先制 中国批判を封印/韓国は表現後退

朝日新聞 施政方針「改革」を連呼 「安倍カラー」に踏み込まず

毎日新聞 格差是正策を意識 野党の批判に先手

読売新聞 首相、政策実現に自信 「改革」連呼36回

【産経新聞】
 ・・・一方、日本との「歴史戦」を激化させる中国、韓国への対応には“濃淡”をくっきりとつけた。
 中国に関しては、昨年1月の施政方針演説では使わなかった「友好」という言葉を昨秋の所信表明演説に続き用い、約2年半ぶりに実現した昨年11月の日中首脳会談を「関係改善に向けて大きな一歩を踏み出した」と評価した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海上空に設定した「防空識別圏」などに対する批判は封印した。

  しかし、韓国に対しては「語る」ことよりも「語らない」ことで日本の立場を鮮明にした。基本的人権や法の支配といった基本的価値を共有する国々として、オーストラリアや東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国、インドなどを列挙したが、韓国の名前はなかった。韓国を「基本的な価値や利益を共有する」とした昨年の演説とは大きく異なる対応だ。
【朝日新聞】
 ・・・首相は演説で憲法や安全保障、歴史認識などで自らの色を抑え、野党に突っ込みどころを与えなかった。 

 首相が「安倍カラー」政策への言及を控えて経済成長や農業、地方創生を全面に押し出すのは、ひとえに4月の統一地方選を意識してのことだ
【毎日新聞】
 安倍信三首相は衆院選後初となる12日の施政方針演説で、政権の経済政策「アベノミクス」による格差拡大への批判を意識した政策を前面に打ち出した。

・・・「子どもの貧困は、頑張れば報われるというまっとうな社会の根幹に関わる深刻な問題だ」。首相は演説で、家庭の経済事情から十分な教育が受けられない子どもへの対策を取ると強調した。
【読売新聞】
安倍首相は12日の施政方針演説で、岩盤規制改革などの「戦後以来の大改革」に挑む決意を全面に打ち出し、長期政権実現に向けた自信のほどをうかがわせた

 ・・・首相の意気込み通り、岩盤規制改革は実現のメドがつきつつある

3.過去の施政方針は?

毎日新聞による過去の施政方針の比較は以下

【経済再生】
2013年-三本の矢を力強く射込む
2014年-経済の好循環なくしてデフレ脱却はない
今回-景気回復を全国に届け、財政再建と社会保障改革も同時に達成する

【農業】
2013年-攻めの農業政策が必要
2014年-減反を廃止して農地のフル活用を図る
今回-農家の所得を増やすための改革を進める。農協改革を断行

【教育】
2013年-道徳教育の充実。6・3・3・4制の見直しの検討を進める
2014年-教育委員会制度を抜本的に改革、道徳を特別の強化に位置付ける
今回-多様な学びを支援し、義務教育の画一的な「6・3」制を改革する

【安全保障】
2013年-防衛関係費を増加、国家安全保障会議の設置に向けて検討する
2014年-集団的自衛権について対応を検討する
今回-切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進める

【憲法改正】
2013年-憲法審査会の議論を促進し、国民的な議論を深めよう
2014年-必ずや前に進んでいくことができると信じている
今回-国民的な議論を深めていこう

4.新聞各紙の意見は?

4紙の社説を比較するとこんな感じ

産経新聞「改革断行の決意を評価」

朝日新聞「『戦後以来の大改革』が不透明」

毎日新聞「首相こそ合意の努力を」

読売新聞「『大改革』の成果が問われる」

【産経新聞】主張
 日本が内外の危機を克服するため、諸課題への取り組みから「逃れることはできない」という首相の認識は妥当だ。改革断行への決意を評価したい。

 大改革には「痛み」が伴い、その実現には国民の支持と理解が不可欠だ。改革の先に日本がどのような姿に生まれ変わるのか、具体的かつ丁寧に説明すべきだ。
【朝日新聞】社説
・・・かつて「戦後レジームからの脱却」と繰り返していた首相が唱え始めた「戦後以来の大改革」。きのうの演説を聴く限りでは、その最終的な狙いについては不透明なまま

  ・・・首相が最後にめざすところをただし、問題点を明らかにするのは野党の役割だ。
【毎日新聞】社説
・・・首相は国会に批判の応酬の自制を求め、経済政策をめぐり「批判だけを繰り返していても何も生まれない」と主張した。揚げ足取りのような議論は別にして、野党はそれぞれの立場から政策を主張している。選挙で自民党が掲げた政策に有権者が全て賛成し、野党による主張を全て否定したわけでもない

・・・政権運営で見直すべき点は見直し、首相こそ批判に耳を傾け、着実な合意形成に努めるべきだ
【読売新聞】社説
 昨年末の衆院選圧勝でより強固になった政権基盤を生かし、多くの困難な政策課題に取り組む決意は伝わってくる。国民の期待に応えるには、具体的な成果を出すことが従来以上に求められる